2025年8月8日(金)14:00発表 日本 景気ウォッチャー調査2025年7月分 (その他:最新の家計調査・商業動態統計速報・消費動向調査・消費活動指数より)## 【1】結果:消費動向は底堅く見えるが全体としてはまちまち【図表1】直近の消費関連統計※<単位>の補足がないものは指数値、またカッコ内は前年同月比%出所:総務省、内閣府、日本銀行、経済産業省よりマネックス証券作成2025年6月の家計調査では、二人以上勤労者世帯の実質消費支出は、前年同月比3.8%増の32.3万円と4ヶ月連続で前年同期比プラスとなりました。実収入は3ヶ月ぶりの実質減となる同1.7%減の97.6万円と、6日に発表された6月の毎月勤労統計調査と同様にボーナスによる収入の伸び悩みが寄与しました。結果として、可処分所得(収入のうち、税金や社会保険料を控除した所得、いわゆる手取り収入)は前年同月比8.1%減となり、2024年と比べるとペースダウンが意識されます(図表2)。その他の消費指標を概観すると、小売売上高は経済産業省の基調判断では一進一退で据え置かれ、業種間でまちまちの状況です。百貨店の下落傾向は顕著である一方で、スーパーマーケットなどは底堅い売上となっています。消費マインドは横ばい圏の動きとなり、目立って改善がみられなかったものの、景気ウォッチャー調査における先行きの家計動向は、改善がうかがえる内容となりました。【図表2】二人以上勤労者世帯の収入・消費の推移(前年同月比、%)出所:総務省よりマネックス証券作成、3指標ともに実質ベース## 【2】内容・注目点:前四半期のGDP民間最終消費は良くて横ばいか【図表3】世帯消費動向指数と消費活動指数の推移出所:日本銀行、総務省よりマネックス証券作成※CTIミクロは二人以上世帯世帯消費動向指数とは、別名CTIミクロと呼ばれ「世帯における平均消費支出額」を指数化したものです。6月の二人以上世帯における季節性を加味したCTIミクロは前月比3.0%減少し、前回5月に大きく上昇していた反動もあり低下が確認されました(図表3、青色)。一方で、日本銀行が算出する消費活動指数の6月の数値は持ち直しが見られるものの、前四半期を通してみれば横ばい圏の動きとみなせます。これらから前四半期(2025年4-6月期)のGDPにおける個人消費は横ばい、前期比0%程度と予想されます。## 【3】所感:先行きの消費が一段強さを持つには、基本給の上昇が重要か足元の消費は一部弱さが見られるものの、底堅く推移しているものと考えられます。一方で図表2の通り、実質可処分所得が大きく低下するなど、先行きへの懸念材料が確認できる内容です。先行きの国内経済は米国の関税政策などから輸出減少がGDPへの下押しとなると予想されますが、消費がそれを支えていくとの見方があり、個人消費がより重要な局面と言えます。しかし、家計によって所得の低下を意識させるケースでは、このシナリオが頓挫する可能性があるでしょう。ボーナスは一時的要因のため、基本給が底堅く上昇していくかが重要と考えられます。マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太
【日本】2025年7月の実質消費支出は減速もプラス圏 底堅い消費動向も先行きは弱含む可能性 | 日本とアメリカの重要な経済指標を分かりやすく解説 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
2025年8月8日(金)14:00発表
日本 景気ウォッチャー調査2025年7月分
(その他:最新の家計調査・商業動態統計速報・消費動向調査・消費活動指数より)
【1】結果:消費動向は底堅く見えるが全体としてはまちまち
【図表1】直近の消費関連統計
※<単位>の補足がないものは指数値、またカッコ内は前年同月比%
出所:総務省、内閣府、日本銀行、経済産業省よりマネックス証券作成
2025年6月の家計調査では、二人以上勤労者世帯の実質消費支出は、前年同月比3.8%増の32.3万円と4ヶ月連続で前年同期比プラスとなりました。実収入は3ヶ月ぶりの実質減となる同1.7%減の97.6万円と、6日に発表された6月の毎月勤労統計調査と同様にボーナスによる収入の伸び悩みが寄与しました。結果として、可処分所得(収入のうち、税金や社会保険料を控除した所得、いわゆる手取り収入)は前年同月比8.1%減となり、2024年と比べるとペースダウンが意識されます(図表2)。
その他の消費指標を概観すると、小売売上高は経済産業省の基調判断では一進一退で据え置かれ、業種間でまちまちの状況です。百貨店の下落傾向は顕著である一方で、スーパーマーケットなどは底堅い売上となっています。消費マインドは横ばい圏の動きとなり、目立って改善がみられなかったものの、景気ウォッチャー調査における先行きの家計動向は、改善がうかがえる内容となりました。
【図表2】二人以上勤労者世帯の収入・消費の推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成、3指標ともに実質ベース
【2】内容・注目点:前四半期のGDP民間最終消費は良くて横ばいか
【図表3】世帯消費動向指数と消費活動指数の推移
出所:日本銀行、総務省よりマネックス証券作成
※CTIミクロは二人以上世帯
世帯消費動向指数とは、別名CTIミクロと呼ばれ「世帯における平均消費支出額」を指数化したものです。6月の二人以上世帯における季節性を加味したCTIミクロは前月比3.0%減少し、前回5月に大きく上昇していた反動もあり低下が確認されました(図表3、青色)。
一方で、日本銀行が算出する消費活動指数の6月の数値は持ち直しが見られるものの、前四半期を通してみれば横ばい圏の動きとみなせます。これらから前四半期(2025年4-6月期)のGDPにおける個人消費は横ばい、前期比0%程度と予想されます。
【3】所感:先行きの消費が一段強さを持つには、基本給の上昇が重要か
足元の消費は一部弱さが見られるものの、底堅く推移しているものと考えられます。一方で図表2の通り、実質可処分所得が大きく低下するなど、先行きへの懸念材料が確認できる内容です。先行きの国内経済は米国の関税政策などから輸出減少がGDPへの下押しとなると予想されますが、消費がそれを支えていくとの見方があり、個人消費がより重要な局面と言えます。
しかし、家計によって所得の低下を意識させるケースでは、このシナリオが頓挫する可能性があるでしょう。ボーナスは一時的要因のため、基本給が底堅く上昇していくかが重要と考えられます。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太